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ロック / ???
哀愁漂う世界。
潮の香りと共に冷たい秋風が頬を撫で、沈む夕日は赤々とした色合いを終わろうとしていた。
飛空挺ブラックジャックの甲板。
高度はそれほど高くなく、ゆっくりとした速度で各地を周遊している。
手摺に両肘を置き、遥か彼方を“彼”は見る。
果たして、その瞳に映すものは何なのだろう。
「――――――レイチェル。君は今、どんな世界を見ている?」
悲しく儚い背中は本当に静かに。
その瞬間のあらゆる音が消えるように。
彼は風にしか聴こえないように、ポツリと小さく呟いた。
冷たくも優しい風は気紛れに世界を泳ぎ、限界を知らないようにどこまでも風は吹く。
この世界――――無限の空を駆け回る。
だが………〝優しい言葉〟は空を翔ぶことはない。
肌寒い風だけが彼を追い越して、無限の空を自由奔放に舞い踊る。
「――――ロック!!」
彼の名を呼ぶ声。
悲鳴のような叫び声を出して、一人の仲間が甲板に姿を現した。
――――仲間?
それは否だ。そんな安っぽい絆で彼は繋がれてはない。
生まれも育ちも、敵も味方も、全く違う者たち。
全て同じ志の者たちが集まった集合体。
だから、彼らは自分たちでこう言う。
――――――家族と。
唐突に呼び掛けられた彼は、何てことない表情を
作り振り向く。
そうして、自分に声を掛けた者の名をはっきりと口にした。
「何だ――――………か」
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2005/03/17
短編
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