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Asche Weg _Zwei

2005年09月の記事一覧

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Ever17 -the out of infinity- / 一生に一度の賭け

倉成武 / 田中優










 ――――花火と着物。
 如何にも季節は夏なんです―――と、説明する必要がないような格好をしている私。うーん、やっぱ私には紫陽花の柄は“らしく”ないような気がする。これはお淑やかな人が着るような柄だと思うし、それは間違ってないはず。お母さんは似合ってるって言ってたけど、アイツは何て言うかな。

 ………………はぁ、全く何考えてるんだか私は…。
 思わず深い溜息を吐いてしまう。だとしたら、この顔の緩みは一体何だって言うのよ。言葉と表情が一致してな過ぎる…………というか、全く以って正反対。

 ―――でも、何となく分かる。

 アイツなら絶対に似合ってると言ってくれる自信と期待がある。
 自信はあるけど、それは飽くまで私の頭の中での空想に過ぎない。実際に言ってくれるとは思うけど、それが現実として聞けないとどうしても不安になってしまう。

 ……………………か、完全にどっぷり漬かってるじゃん、私。
 いくら惚れた弱みだからって、ここまで変わるもんなのッ!?

 昔の友達に今の私は見せられない…ッ!
 絶対に笑われる。豪快に爆笑のネタにしかならない。というか、酒の肴になって根掘り葉掘り抉られるのが目に見えてる。
 傷口に消毒薬じゃなくて、塩を塗り込むような知り合いばっかだしな~。
 ………………ヤバい。想像したら、物凄くムカついてきた。何で私がアイツのために笑い者にされなきゃいけないのよッ!

 こんなこと考えるのも、アイツが待ち合わせに遅刻してくるのが悪い。そうよ。そうなんだ。そう決めた。私がたった今決めた。アイツが一方的に悪い。来たら思いっきり、

「―――あぁ、いたいた。わりぃ遅れちまった。待ったか、ゆ」
「うるァ!!」

 バシッ

 ―――殴ってやらないと。







/ 一生に一度の賭け /

作者:琉海








 私の名前は田中優――――ホントはもっと長いけど、長い名前が嫌いだし、名前にそれほど意味はないし、普段は優(ゆう)って紹介してる。

「………あー、まだ痛ってぇよ。つか、マジでグーで殴ってくるか、ふつー?」
「うっさい。遅刻してくる倉成が悪いんでしょ」

 隣で男が文句を言ってくるけど、さらりと流す。
 今日は付き合ってる彼―――倉成武が「あのさ、今日俺んちの近くの神社で盛大とは言えないけど祭りやんだけどよ、優も来ないか?」って言うから待ち合わせしたのに。
 何で遠くて色々と支度がある私のほうが早くて、近くていつも通りの格好をしてるアンタが遅刻してくるのよッ!
 ……おまけに何で遅れたのか言ってくれないし、何か物凄く納得いかないんだけど。

 ――――というか、付き合ってる彼女が着物を着て来てるのに、何の一言もない彼氏ってどうなのよッ?

 ……こうなったら、やけ食いよやけ食い。出店の食べ物を全制覇してやるんだから。勿論、支払いは全部倉成の金で。
 そう決めたら、右手を頬に当てて痛みを和らげようとしてる倉成の手を引く。

「ぉ? おぉ? ちょ、ちょっと待て優」
「まずはあの大判焼きからよッ!」

 何のことだー、と言う倉成の声は無視。
 遅刻してくるほうが悪いんだから。一言も似合ってるなんて言ってくれない倉成が悪いんだから。私の苦悩を知らない倉成が悪いんだから。
 ――――アンタが悪いんだから。


 …
 ……
 ………
 …………
 ……………
 ………………


「…………ふぅ、お腹いっぱいだわ」

 鳥居を越えて、神社手前の石段に腰掛けて、ギブアップ宣言。
 何を祀ってるのかさっぱり分からないけど、神様ごめん。私、今アナタに背を向けて、少しゲップまでしてしまいました。まぁ、こんな美人の珍しい仕草ってことで寛大な処置をお願い。
 ……にしても、涼しいわね~。
 どこから入ってくるのか知らないけど、涼しい風が私たちを出迎えてくれた。ホントに今が夏なのか疑問に思ってしまうくらい、涼しい夕方ね。

「…………出店全制覇すりゃ腹もいっぱいになるっての。つか、全部食い切った優は異常」

 む、確かにちょっと食べ過ぎたかもしれないけど、異常とまで言われるとは心外ね。成長期なんだからこれくらい腹十二分目くらいよ。
 ……………………それでも人より多いことには変わりない……か?
 …………で、でもでもッ、成長期であることには変わりないんだから…ッ!

「お陰で俺の財布は空っぽだ」
「うっさい。遅れてきた倉成が悪いんでしょうが。それに遅刻の理由も秘密だし」
「そ、それだけは言えんッ! どうしても……」
「……アンタ、もしかして浮気してんじゃないでしょうね?」

 睨む。それはもう思いっきり眼で殺すくらいの勢いで。
 言葉は冗談。眼は本気。
 でも、コイツに好意を寄せてる“人たち”を私は知っているから、もしかしたら……と思ってしまうのは仕方がないことだと思う。顔はそこそこイケてるし、“私たち”と関係ない人と浮気してる可能性も否定できない。
 安直かもしれないけど、私に言えないってことは疚しいことってことになるんじゃ……?

「………………優。俺のこと信用できないのか?」
「えぇ。出来ないわね」
「――――うわ、ふつーそこで即答するかよ」

 肩を落とす倉成。
 冗談じゃない。がっくりと肩を落としたいのは私のほうだ。遅れてきた理由も言えない人が信用できないのか? だって。
 ―――一体どこの誰が信用できるって言うのよ。というか、信じる要素が全くないのよ?
 それでよく「信用できないのか?」なんて言えるわね。
 私は神仏のように寛大な心を持ってるわけじゃないし、何より独占欲が強いんだから。そういうことをされると疑ってしまう。不安になっちゃうじゃない。

「…………だって、何してて遅れたのかはっきりしない倉成なんて信用できるわけないじゃない…ッ!! 私だって考えたくないけど、倉成の行動が理解できないんだから、不安になっちゃっても仕方ないじゃない…ッ!」

 不満が爆発した。
 不安を暴露した。
 …………何てカッコ悪い姿を見せちゃってるんだろ私。
 倉成には弱い私を見せたくなかったのに。

「――――…………悪かった。まさか優がそこまで自分に自信がない女だと思ってなかった」
「………………幻滅……した?」
「いや、惚れ直した」
「え―――?」

 倉成は何を言ってるんだろう。
 こんなにカッコ悪い内面を見せた私に、惚れ直した……?

「お前でも“そういう部分”ってあるのな。普段が普段なだけに全然想像つかなかった」

 …………何それ?
 全然、全く、これっぽっちも、少しだって、理解不能。意味不明。

「何て言うんだろな。弱みを“俺に”見せてくれたことが嬉しいって感じ?」

 だって、そういうの見せてくれるの俺にだけだろ? と倉成。
 …………うー……そ、そんなことッ……子供のように無邪気な笑顔でそんなこと言うなッ!
 物凄く恥ずかしい。

「でも、優がそこまで言うんなら、仕方ないよな」
「……??」
「ホントはこういうのってタイミングが必要なんだけど………えーと……はい」

 いや、そう言われて渡されても、紙袋のままなんだけど?
 プレゼントだってのは何となく分かるけど、この紙袋の大きさから、結構小さいもの?
 倉成はこれを買ってきたから遅れたって言うんだろうか…? だとしても、それ相当のものじゃないと私の機嫌は簡単に――――

「―――ちょッ……―――こ、れ…って………ッ」

 紙袋の中から出て来た“一つの小さい箱”を見て、咽喉が震えた。
 これが私の想像通りのものなら間違いなくアレで、そういう関係になるもので、とても大切なもので…………あーもうッ、上手く言葉にできないじゃないのッ!

「―――優。開けて見てくれ」

 何だろう。不思議な現象が私の手に現れてる。催眠術にでも掛かったみたいに、倉成の言葉通りに指がその箱を開けようとしていた。
 心臓の鼓動が激しくて、胸を締め付けるように苦しい。
 ―――痛い。
 でも、この湧き上がる感情はきっと嬉しいものだ。きっと幸せなものだ。きっと―――

「――――――ゆび……わ」
「結婚しよう―――優」

 ―――泣いてしまうくらい幸せなものだ。












週末、俺の親父とお袋に会って欲しい。
……優。返事を聞かせてくれ。

そうね。賭けをしましょう。
私との賭けに勝てばプロポーズ受けてもいいわよ。

賭け…?

ここの神社に御神籤あるわよね?

あぁ、あるけど……。

貴方の運が私より大きかったら賭けは貴方の勝ち。
そのときは貴方の両親に会いに行きましょ。

もし………優が勝ったらどうなるんだ?

そうね。私が勝ったら一緒に来て貰おうかしら。
―――週末、私のお母さんに挨拶しに。

え―――?
それって―――………もしかして……。
あぁ、いいぞ。その勝負受けた。

……ふふっ。準備はいいかしら。
すいませーん、御神籤二本分―――。







 あとがき

 ……えーと、Ever17じゃなくても、版権は何でもいいような気がするのは気のせいだと思って下さい。
 一日で書いたSSなので、深いツッコミは遠慮したい今日この頃。
 まぁ、一日と言っても、二十四時間かけたわけではないです。
 尤も、その時間かけてこの程度しか書けないとしたらSS作家として終わってますが(苦笑
 …………えー、大体二、三時間ほどだったと記憶しています。
 短時間で書いた所為か、展開が急過ぎです。
 不自然・違和感・不条理…………言われても仕方ないです。

 分かり難いかもしれませんが、一応補足。
 Ever17の倉成武ルート田中優エンドの後日談。
 ………あー、色々とツッコミたいと思われるかもしませんが、その辺りはご都合主義と言うことで勘弁してください。

 最後の台詞の掛け合いは、某ゲームのエンディングをパク(ry参考にしました


 というか―――
 優の口調が別人のように思えて仕方ないんですが(苦笑
 読み直せば読み直すほどCLANNADの杏に思えてしまいます。

 ちなみに、「うるァ」と言うのは某日々野晴矢を意識しました。
 何故優にそれを入れたのかは私にも謎。
 女性の言う台詞じゃないですよね?(滝汗

 ―――ま、いいか。


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2005/09/06   短編     トラックバック-0   コメント-0

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Ever17 -the out of infinity- / 一生に一度の賭け   09/06


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